浅井打刃物製作所 (〜2014.6)

 平成26年7月12日、タケフナイフビレッジ創立者の10人の1人、浅井正美氏が永眠しました。満六十六歳にて生涯をとじました。
生涯現役で「越前丸勝」の名で包丁、カスタムナイフ製作に尽力しました。タケフナイフビレッジ一同、彼の生涯に敬意を表し力を合わせて頑張っていく所存でございます。
タケフナイフビレッジ協同組合一同

浅井 正美 Masami Azai (1948.1.29〜2014.7.12)

工房にて工房にて工房にて工房にて工房にてフランクフルトメッセ、アンビエンテ展にてフランクフルトメッセ、アンビエンテ展にて2005年ドイツ三木でハンドル材探し20周年記念式典 川崎和男さん、山本直さんとナイフマガジン20周年特集

「お疲れ様でした・・ひたむきな歩みを偲んで」

十代の頃に自身の父親を亡くし、以来長男として家族を支えたという父。
多くの苦労を経験したと聞いておりますが、大変な環境で培われたのは芯の強さと周囲を思いやる優しさだったのではないでしょうか。仕事に励むひたむきな背中で良き生き方を示し、温かな心で私たちを包んでくれた父には、いくら感謝してもしきれません。
鍛冶ひと筋、『越前丸勝』の名で刃物の製造に汗を流した幾年月。
包丁のみならずカスタムナイフ作りにも挑戦するなど、常に新しいものを求め開拓していた姿がよみがえってまいります。家業の五代目としての重圧もあったと思いますが、職人としての誇りを胸に生涯現役を貫きました。
仕事を離れると打って変わって朗らかな表情を見せ、ご友人方と楽しげに笑い合っていた光景が忘れられず、別れの寂しさは募るばかりです。
名残惜しくてなりませんが、「お父さんの包丁やナイフは最高だったよ」と声をかけて、静かに見送ります。
父 浅井 正美 は精いっぱい命を輝かせ、平成二十六年七月十二日 満六十六歳にて生涯をとじました。
父の包丁、ナイフを愛してくださった方々をはじめ、お力添えを賜りました全ての皆様へ、深く感謝申し上げます。

浅井 正勝


 

16年前、鍛治職人を目指し、大阪から一人この武生にやってきた社会の右も左も分からない高卒の私を心良く雇っていただき、とても良くしていただきました 。
刃物職人としての基礎と楽しさを教えていただき、また、加茂藤刃物に移ってからも、浅井さんの技術を惜しみなく教えていただきました。
以前、経営不振の為私を一年間しか面倒をみれなかったことをずっと悔やまれておられたとのことで、それ以来弟子は取らなかったとおっしゃられていた浅井さん。ご病気をされてから、私に、浅井打刃物製作所の工房と仕事を引き継いでみないか?とのお話を受けました。
それから、この一年と数ヶ月、山本打刃物として浅井打刃物製作所の技術、経営、浅井流の刃物への考え方などを分かりやすく教えていただきました。また、私的には、婚姻届の証人になっていただき、第二の父親のような存在と勝手に思っております。

浅井正美さんから譲り受けた越前丸勝の名に恥じないように、これから一生懸命打刃物に取り組む所存でございます。

改めて、浅井正美さんのご冥福をお祈り申し上げます。

山本打刃物 山本 直